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猫を長生きさせたいなら(都市部編)

室内飼いをしましょう!

「猫を長生きさせたい」飼い主ならば誰でもそう思うと思います。今現在、私の病院でも沢山の猫ちゃんがケガや病気の治療のため通院や入院をしていますが、その中で室内飼いと外に自由に出ている猫ちゃんを比べると圧倒的に外に自由に出ている猫の寿命の方が短いようです。
逆に考えると、これからお示しするような注意を守って室内飼いをすることが長生きさせてあげるコツではないでしょうか。

どうして外に自由に出ると短命なのでしょう?私の病院のある杉並区を含めた東京都区内は人口が密集して、いろいろな考えの人々が住んでいますし、鉄道バスなど交通機関が発達し、車の往来がとても激しい地域です。また、飼い主のいない野良猫がとても沢山いるのが現状です。

このような環境で猫を自由に外に出しているとどのようなことが起こるでしょうか?

1.交通事故による死亡およびケガ(猫には交通ルールを守らせることは不可能です)
2.他の猫(野良猫を含む)とのケンカや縄張り争いが起こる。(猫は自分の縄張りテリトリ―を持つ動物です)
3.去勢避妊をしていなければメスでは妊娠、オスではメスを求めてオス同士のケンカや交尾によるケガが絶えません。(手術など特別な処置をしないと猫に性的な衝動を押さえさせることはできません)
4.他人の庭に排泄するなどの近所迷惑も起こせば、逆に除草剤や殺虫剤などの薬物による中毒症状で死に至ることもあります。
5.猫の嫌いな方や心無い悪意に満ちた人間から虐待を受けることもあるでしょう。

現在のところ、予防注射で防げない猫免疫不全ウイルス(猫エイズ)、や伝染性腹膜炎ウイルスなどはケンカや交尾などの接触で感染します。野良猫の多くはこれらを含む感染性のウイルスを保有している可能性が高いのです。
また、車の数は衰えるどころか益々増加していますし、さまざまな化学薬品も我々の周りには存在します。こんな状況の中で飼い猫たちを交通事故や中毒から守ってあげるには残念ながら室内飼育しか方法がありません。

もちろん室内飼いが猫のためベストであるということではありません。郊外の広大な敷地に他の猫がいなくて、近隣の家もなく理想的な環境があれば猫を自由に放し飼いするべきだと思いますが、そんな非現実的な夢物語ではなく、今すぐ現実問題としてどのように猫を長生きさせるべきかを言っているのです。

室内飼いの注意点
それでは室内飼いをする場合どのような注意をすれば良いのでしょう?やはりそれはそれなりに問題もあるので、できるだけ猫と飼い主のそれぞれの立場でよりベターな飼いかたに努める必要があるのです。
特別な人以外は猫専用の立派な屋内飼育小屋を立ててあげることなどできないでしょうから、通常は飼い主さんと共に部屋の中で生活させることになります。

小さい時から完全室内飼いにする
猫はテリトリー(縄張り)意識を持つ動物ですので、子猫の時から生活している場所をテリトリーとして認識します。中途半端に外に出すとテリトリーの認識が一定しません。テリトリーの認識が外にまで及んでしまうとそれを狭めるにはやはり、時間がかかるし環境の変化に適応しずらいと思われます。
また猫は単独生活する動物ですので、室内で他の猫との接触がなくても十分問題なく生活できると思われます。
(猫だけ一頭で置いておくのは可愛そうだと思う必要はないと思われます)

photo 上下運動や空間を最大限に利用しよう
室内での運動は当然限られます。幸い猫は上下運動に適した動物です。できるだけ起伏に富んだ環境を作ってあげましょう。猫の目線に立って空間を上手く利用しましょう。もちろん可能な限り遊んであげることもしてください。
このようなキャットタワーも1つの方法です。

食事は必ず低カロリーにしましょう。

成長期(生後10から12ヶ月まで)以降の食事はカロリーの低いものを与えてください。どうしても運動によるカロリー消費が少ない傾向になり肥満の猫が多くなります。食事を置きっぱなしにしていつでも好きなだけ与えるのでなく、理想体重を維持するのに必要な一日量を決めて与えてください。(一般に生後10~12ヶ月くらいの時の体重を維持するように心がけましょう)
オス猫は特に尿路に結石がつまりやすいので、結石ができないように配慮されたドライフードが必要です。

当院ではカロリーが低めで、結石ができないように配慮されたヒルズW/Dをお勧めいたします。

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すでに肥満の猫にはさらにカロリーの低いヒルズR/Dがお勧めです。

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理想的なトイレを

室内で飼育する以上絶対に欠かせないのがトイレです。
また、室内飼いで飼い主さんが一番困るのも猫の排泄のトラブルです。

その猫が好みのトイレを準備しましょう。(大きさや深さ、カバーのあるなしなど)
猫の数以上のトイレを用意しましょう。(複数の猫がいる場合トイレはなるべく多く用意しましょう)
その猫が好みの猫砂を準備しましょう。(いろいろなタイプの猫砂が市販されているので試してみましょう)
その猫が使いやすい場所に置きましょう。(安心して排泄できる場所かどうかよく考えて)
トイレは常に清潔に(糞や尿をすぐに処分しておかないと、トイレ以外でしてしまう可能性が高まります)

避妊・去勢手術をしましょう

室内飼いなので子供が出来ることはないので、手術の必要はないと思ってはいませんか?
この手術は室内飼いであっても必須の手術です。
動物にとっては発情の憂鬱から解放してあげるためや、高齢になって多発する性ホルモンに関係する病気の予防になるからです。
また、飼い主の立場から考えてもメスの発情による鳴き声をや、オスのおしっこのマーキング(スプレー)を抑制するために必ずやらなくてはなりません。実施時期はほとんどいつでも可能ですが理想は生後6ヶ月くらいです。
詳しくはこちらをご覧ください。

予防注射は必ず受けましょう

室内飼いなら予防注射(ワクチン)を打たなくてもいいと思っていませんか?確かに他の猫との接触がない分感染の機会は少ないかもしれませんが、ウイルスは飼い主さんの服や靴に付いたり、風に舞って進入しないという保証はありません。もし感染した場合は免疫がないため重症になって致死的な経過をたどりやすいのです。
他の猫との接触が100%考えられない場合でも最低3種混合ワクチン(コアワクチン)だけは接種しておきましょう。

ツメ(つめ研ぎ)の問題

photo 室内飼いで問題になるのが排泄の次につめ研ぎが多いようです。これは、あくまで飼い主が問題にすることで、猫としてはあたり前の事をしているだけなのです。ですから飼い主が許容できれば特別な対策は必要ありません。
とは言っても、壁や柱、家具などをぼろぼろにされたり、大切な装飾品などを台無しにされることを許せる人は少ないと思います。

photo 市販のつめ研ぎを用意する。(いろいろなタイプがありますので適当な場所に設置してみる)
単なるダンボールが好きな子もいます。

ソフトクローの装着(当院で販売しています。装着は飼い主さんでも可能です)
photo ソフトクロー(室内飼い猫専用です)とは アメリカの獣医によって開発されたネイルキャップで、10年間で数百万個の販売実績を有する、定評のある製品です。

猫ちゃんの爪による次のようなトラブルをおしゃれに解決します。

猫ちゃんの爪とぎで大事な家具を傷つけられた。
猫ちゃんのいたずらで引っ掻かれてケガをした。
猫ちゃんが自分の傷を引っ掻き、中々治らない。 
ネイルキャップは毒性試験をパスしたビニール製のとても安全な製品で、万一猫ちゃんが飲み込んだとしても無毒・無害です。また、接着剤も外科手術用と同等品質のものを使用しており、安全です。

photoつめの大きさによって3サイズあります。

1.つめの先を切る。
2.接着剤を付ける。
3.つめに装着する。
4.固まるまで猫を5分くらい抑えておく。

図

ソフトクローは約1ヶ月くらいで自然に取れますので、繰り返し装着します。

つめの永久除去手術
つめの付け根から手術によって切除して皮膚で被ってしまうので、永久につめが伸びてくることがありません。
完全室内飼いの猫なら、日常生活に不自由なことはありませんので、一度手術してしまえばつめの問題で悩むことはありません。

特にこの手術が適応となるのは、凶暴性がある猫で、つめを切ったり触ったりすることが出来ない猫や、家族に危害が及ぶ場合(小さな子供やお年寄りを攻撃したり、飼い主さんを襲うような例)は積極的に考えてもよいでしょう。
手術は、前肢だけすることも出来ますし前後肢同時にすることも出来ます。

室内なら高いところに上ったり、駆け回ったりする上で不自由はありませんので、術後の心配は不要です。
手術について詳しくは当院までお問い合わせください。

高齢になったら血液検査を受けましょう

室内飼いの猫は事故やケガの可能性は低いのですが、内臓系の病気は完全に防ぐことは出来ません。生後7~8年になったら早めに病気を見つけるために年に1~2回は血液検査を受けましょう。
詳しくはこちらをご覧ください。

どうしても室内だけに入れられない場合

いろいろな事情から、完全室内飼いが出来ない場合は以下のことだけは絶対にやっておきましょう。

●予防注射(ワクチン)を毎年受けましょう。
猫白血病ウイルスの予防も入った4種以上の混合ワクチンの接種をしてあげてください。猫のエイズ、伝染性腹膜炎ウイルスの予防は現在のところできません。

●避妊・去勢手術は必ずしておきましょう。
不幸な子猫が増えないようにまた、交尾やケンカでケガしないようにや伝染病に感染しないようにするために絶対に必要です。

●寄生虫(お腹の虫・ノミ)の対策が必要です。
定期的に糞便の検査、ノミの予防(6ヶ月ごとのプログラムの注射、月に1度のフロントライン投与)
市販のノミの薬は、動物用医薬品ではありません。同じように見えても効果や安全性で全く違うものです。
動物病院で処方される動物用医薬品を使ってください。

●マイクロチップの挿入をしましょう。(当院でいつでも簡単に挿入できます。)
自由に動き回る猫は、いつどこでいなくなるかわかりません。皮膚の下に埋めこむマイクロチップは1回挿入しておけば一生はずれることはありません。首輪などは取れたりはずされたりしますが、マイクロチップなら猫に害もありません。
飼い主さんの情報が登録されますので、リーダー(読みこみ器)があれば検索できます。

詳しくはこちらをご覧ください。

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